5月1日付ビジネスアイ紙に掲載されたコラムです。足るを知るといいますか。個人的には2級で十分、満足しています。
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120501/cpd1205010501001-n1.htm
◇「2級」の記者
検定挑戦に立ちはだかる漢字の壁
冬の寒さが最も厳しかった頃のことだ。産経新聞の渡辺照明・写真報道局長と共著で『春夏秋冬 鎌倉めぐり』(新人物往来社)という本を出版した。春の観光シーズンに間に合わせようと、年末年始の休みに原稿を仕上げ、編集者に手渡す。
「巻末に載せる略歴もお願いします」
「えっ、経歴って、新聞記者以外は何もやってこなかったし…」
編集者があきれたような顔でこちらを見る。「いるんだよねえ、こういう困った人が」といったところか。
「1973年産経新聞入社。以来ずっと記者。2009年に定年を迎えた後も嘱託としてやっぱり記者」
気分としてはこんな経歴なのだが、これではさすがに本を手に取っていただく方に申し訳ない。もう少し色をつけよう。
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5年半ほど前に東京から鎌倉に引っ越した。休日になると鎌倉に写真を撮りに通う横浜在住の渡辺記者と2人で、SANKEI EXPRESS紙に『湘南の風 古都の波』という連載を始め、その中から選んだ写真と文章をまとめたのが今回の本だ。鎌倉関係の経歴か肩書もなにかほしい。そう思って探してみたら…。
ありました。鎌倉検定2級。
できれば1級と書きたいところだが、2級止まりなのには事情がある。
鎌倉検定は2007年から鎌倉商工会議所が始めた検定制度である。商工会議所のサイトには次のように書かれている。
《鎌倉の素晴らしさを再認識され、より多くの皆様方に“鎌倉ファン”となって頂くことを目的として実施するものです》
最初の年は3級のみの試験だった。駅前の書店で山積みされていた『鎌倉観光文化検定公式テキストブック』を衝動買いし、腕試しのつもりで試験も受けた。鎌倉に引っ越してまだ日が浅く、知識はそれに輪をかけて浅かったが、テキストブックを熱心に読んだ甲斐があったのか、幸いにして合格の通知をいただいた。
後で調べたら合格率は70%だった。ハードルはあまり高くなかったのだろう。
翌年には2級の試験も始まった。3級取得者が対象だ。合格率50.5%。問題も難しくなったが、何とかパスした。昔取った杵柄というか、中学、高校時代の受験技術が役立ったのかもしれない。3級も2級も四択の選択問題だったからだ。これなら答えが分からなくても、推理を働かせて正答確率を上げることはできる。
この調子で1級も、とひそかに思い定めていたのだが…。翌年の検定実施概要が発表されたとたんに諦めました。なんと1級には記述式(語句・穴埋め等)が導入されているではないか。新聞記者も昔は原稿用紙に鉛筆で記事を書いていたが、最近はパソコンである。漢字を読むことはできても、書けと言われるとハタと困ってしまう。論文形式ならごまかしがききそうだが、「語句・穴埋め等」ではどうにもならない。受験料が無駄になるだけだ。
商工会議所のサイトによると、3級合格者は5年間で2321人、2級は4年間で793人、1級は3年間で86人。やっぱりね。2級、3級の合格率は50%を超えているが、1級は過去3回、いずれも10%台の前半にとどまっている。パソコン、スマホの時代に漢字の壁は厳しい。書かなければどんどん忘れてしまう。年配者はただでさえ記憶力が落ちているのだから、お手上げである(ま、言い訳ですが)。
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日本政府は今年1月、《武家の古都・鎌倉》を《富士山》とともに世界文化遺産登録の候補としてユネスコに正式推薦した。首尾良く登録されるかどうかは来年6月か7月に開かれる世界遺産委員会の決定を待たなければならないが、鎌倉の注目度は一段と高まっている。
今年の検定は例年よりも少し実施時期が遅れ、11月か12月になるという。夏の間に実施要綱が発表され、受験者の募集が始まる見通しだ。つまり、まだ間に合う。
漢字の壁に挫折した2級の記者が言うのも少々、後ろめたいが、1級を目指し鎌倉検定に挑戦する人が増えれば、鎌倉の世界遺産登録にも弾みがつき、それがひいては日本を元気づけることにもなる(かもしれない)。受験者諸兄の健闘を祈りたい。
by 8000hr
3467 今度こそ・・・大銀杏の…