石見銀山の世界遺産登録が認められたことは、2010年の登録獲得を目指す鎌倉にとっても、ひとまず「よかった」と胸をなでおろす結果といえる。思いがけない敗戦があると、それを引きずって後の試合にも響いてしまうといったことは五輪などの国際大会でもよくある。とくに採点競技では選手、審査員双方に心理的影響が出て、負の相乗効果が生まれてしまうことがないとも限らない。そうした不安をとりあえず断ち切ることができたのは鎌倉にとっても非常に喜ばしいことといわなければならない。健全なナショナリズムに根ざした無責任応援団としては、石見銀山に祝福の拍手を送りたい。はい、皆さん! ニッポン、チャチャチャ。
しかし、であります。鎌倉の世界遺産登録への道はまだまだ厳しいイバラの道であり、祝勝ムードにいつまでもお付き合いしているわけにもいかない。ここはひとつ、石見銀山の教訓を検討し、3年後に結び付けていこう。
新聞記事によると、石見銀山の世界遺産登録には、アジアの他の鉱山遺跡との比較研究を今後実施するようにという異例の要請が付けられたという。いわば条件付承認である。登録は認めたものの、不満はくすぶっているといったところだろうか。日本政府必死のロビーイングにより、何とか委員の説得に成功して、ぎりぎりで登録にこぎつけたと受け止めておいた方がいいだろう。
社団法人日本ユネスコ協会連盟のウエブサイトの世界遺産活動のページには、世界遺産委員会について「世界遺産条約に基づいて組織されており、締約国の中から異なる地域および文化を偏りなく代表するよう選ばれた21ヵ国によって構成されます」と書いてある。
現在の委員は、アフリカ4ヵ国(ベナン、ケニア、マダガスカル、モーリシャス)、アラブ3ヵ国(クウェート、モロッコ、チュニジア)、アジア・太平洋4ヵ国(インド、日本、ニュージーランド、韓国)、ヨーロッパ・北米7ヵ国(カナダ、イスラエル、リトアニア、オランダ、ノルウェー、スペイン、アメリカ)、中南米3ヵ国(チリ、キューバ、ペルー)である。議長国は今回の委員会開催のホスト国でもあるニュージーランドで、副議長国はベナン、モロッコ、日本、ノルウェー、キューバだった。つまり各地域から一カ国ずつというわけですね。
これはあくまで私の推測なので、事情に詳しい方がいて、「いや、それは違いますよ。誤解です」というようなところがあるようでしたら、コメントでご指摘いただければ幸いですが、とりあえず、日本が委員の21カ国に名を連ね、なおかつ副議長国でもあったことは、各国に日本の主張を伝えるうえで有効だったのではないかと思う。そうした前提に立ったうえで考えると、日本ユネスコ協会連盟・世界遺産活動のページの次のような記述は鎌倉にとってはちょっと気がかりである。
《委員会の任期は原則6年間で、2年に一度開かれる世界遺産条約締約国総会で改選されます。日本も2003年より委員会に名前を連ねています。ただし、最近は多くの国が委員に立候補するため、任期を自発的に短縮する国もあり、日本の任期も4年間、2007年までとなっています》
えっ、来年はもう委員でも副議長でもないの。再び委員になるのはいつなのか。他の国もあるのだから、1年休んでまた復帰というわけにも行かないだろう。2010年にはちょっと間に合わないかもしれない。この点はきちんと認識しておこう。いつもいつも、最後のロビーイングで押し込むというわけにはいかないのである。やはりイコモス勧告の段階で文句なく世界遺産にふさわしいというお墨付きを得ておく必要がある。









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