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1943 輸入はないでしょう 新型インフルエンザワクチン

2009/07/11 01:47

 

 

 冬場のインフルエンザシーズンに備え、新型インフルエンザのワクチン供給の準備が具体的に進められつつあります。季節性のインフルエンザワクチンも必要なので、その生産にメドがついたところで、新型インフルエンザワクチンの生産に入るという段取りですね。現在、新型インフルエンザワクチン製造用に使われる予定のウイルス株は、増殖性がいまひとつ期待通りではないということで、年内の生産量は当初見通しの2500万人分から1400万~1700万人分に下方修正しなければならないようです。これから、もう少し増殖性の強いワクチン株が確保できる可能性もありますが、とりあえず現状では、日本国内でこの冬、新型インフルエンザのワクチン接種を受けられるのは1400万~1700万人と考えておいた方がいいでしょう。
 
 この冬は、国内で希望する人全員にワクチンが行き渡るというわけにはいかないので、優先順位を決めておかなければなりません。まあ、インフルエンザの治療に直接、あたる医療従事者、インフルエンザ重症化のおそれのある基礎疾患を持っている人や妊婦、できれば子供や高齢者という感じでしょうか。
 
 必要量を確保するためには輸入もというようなことを舛添厚労相はおっしゃっているようですが、これはないんじゃないの。少なくとも私はそう思います。そもそも、新型インフルエンザは日本だけ流行するわけではありません。医療基盤整備の度合いなどを考えれば、むしろ、ワクチン製造の能力のない途上国などの方が流行の規模が大きく、重症化する人も多いかもしれません。そうした困っている国への輸出を求められることこそあれ、どっかから輸入したいなどと日本が言い出したら、笑われてしまうでしょう。
 
 日本は輸入を検討するのではなく、必要なら苦しい中でも、困っている国に対し、日本製ワクチンの一部を提供することもあり得る。そのくらいの気構えは持っていてこそのパンデミック対策です。いま、南半球は冬を迎え、それなりに流行の拡大が報告されていますが、現状ではどの国でも、ワクチンはなしで対応しています。それでも何とかなるのが今回の新型インフルエンザだということは大前提として抑えておいたうえで、なおかつ油断をすることなく、流行の規模を小さく抑えるために必要、かつ現実的な対策はひとつひとつ打っていきましょうというのが冬場に向かって、わが国がとるべき態度ではないでしょうか。
 
 その対策のひとつがワクチンの供給なのですが、それが対策のすべてではありません。各医療機関できちんと発熱を訴える患者さんなどを診ること、院内感染の防止策はいつもの冬のインフルエンザ流行期と同様、手を抜かずにしっかりやることなども大切です。一般の人の注意としては、手洗い、うがいの習慣を付けておくこと、疲れて免疫力が低下するようなことがないよう規則正しい生活を心がけること、人混みはなるべく避けること、そして熱が出たり、せきやくしゃみが続いたり、といったインフルエンザの可能性のある症状を自覚したら近くの診療所で診てもらい、インフルエンザと分かったら無理して会社や学校に行ったりせずに家で休むこと・・・などなど、なんだ大したことないなという小さな注意と努力の積み重ねが大切です。
 
 あっ、それから、大臣は突拍子もないことを言って、無意味な不安感をあおらないことも大切です。新聞社の論説委員も調子に乗って、冬場の流行に備え、ワクチンの輸入なども検討しておくべきだろうといった与太を書き飛ばさないといった程度のことはわきまえておきたいですね。インフルエンザにかかった人が何か悪いことをしたと言わんばかりの報道も、この春で大分、反省したでしょうから、ぐっと減るのではないかと思います。

カテゴリ: 話題!  > 話のタネ    フォルダ: インフルエンザ

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コメント(6)

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2009/07/11 12:04

Commented by tomikyu08 さん

インドネシアですら(失礼)「インフルエンザワクチンは輸入に頼らん、自前で作る」と、国際社会に対してタンカを切っていますのにねえ。

ところで「新型は これ以上無い キャッチコピー」という川柳は、新聞やテレビにとっては、耳が痛いことでしょう。

 
 

2009/07/11 12:47

Commented by 宮田一雄 さん

tomikyu08様

 インドネシア高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1に関し、ウイルス株を検体として提供するかどうかで、WHOやCDCと争っていたように思います。ウイルスを検体として提供しても、開発されたワクチンの恩恵を受けるのが先進国では、途上国側には何のメリットもないというのが、インドネシアの言い分だったと思います。国際協力も先進国主導でばかりは進められないということでしょうか。エイズ対策でも常々、感じているところですが、感染症対策は新たな国際社会の課題を先取りするかたちで提示するような先駆的側面があるのではないかと思います。


 
 

2009/07/12 21:56

Commented by influenza さん

気構えは分かりますが、具体的にはどうするのでしょうか。

最善はあらかじめワクチン生産設備を増強することでしたが、プレパンデミックワクチンの決算に参院民主党が反対した事実もあるくらいです。いつどのように可能だったのか疑問です。
次善はワクチン生産設備の増強を、別の名目(全国民分のプレパンデミックワクチンを作る)で行うことでしたが、残念ながらできませんでした。
最善・次善策はもはやありません。
先生方の選択の結果、残る選択肢は輸入か、限られたワクチンで我慢するかの2択です。

このニュースは、厚労省が議論の叩き台を出してきただけでしょう。
舛添に対する好き嫌いはあってもいいと思いますが、この問題に触れるなら、参院民主党の先生方、ワクチン反対を主張された先生方に見解を伺いに行くのがまず先ではないでしょうか。

 
 

2009/07/13 00:15

Commented by 宮田一雄 さん

influenza様

 H5N1のような高病原性のウイルスによる新型インフルエンザの流行に備え、ふだんからワクチンの生産能力をもっと高いレベルに設定するために生産設備の増強をはかるということはご指摘の通り、大切だと思います。ただし、現在の新型インフルエンザに対しては、いますぐ生産能力の増強がはかれるわけではないので、ワクチン供給量を増やそうとすれば、輸入ということになるのですが、他の国もワクチンが余っているというわけではないでしょう。今回の豚由来の新型インフルエンザは、大半の人にとっては通常のインフルエンザ並みの症状で回復するようなので、ワクチンに関しては国内で供給可能な数量でこの冬を乗り切ることが可能ではないかと思います。そのためにも、誰から接種するかという順番の議論が大切ではないでしょうか。


 
 

2009/07/14 02:41

Commented by influenza さん

宮田一雄様

難しい問題に真摯に回答いただきありがとうございます。
ですが、具体的な数字、主張を裏付けるデータ等を挙げていただけなかったのは残念です。
もし興味がありましたら、諸外国の調達量を調べたり、基礎疾患を抱えている人の視点から見てみると違う情景が見えると思います。

 
 

2009/07/14 12:35

Commented by 宮田一雄 さん

influenza様

 ご指摘ありがとうございます。欧米では大手製薬メーカーの製造するワクチンを大量に購入する国がかなりあるようですね。国際的な巨大企業との契約で自国の取り分はきっちり押さえるというのが先進国の常識だとしたら、日本が輸入の道を探るのも当然の選択ということになります。

 ただし、私には現在の新型インフルエンザの症状、途上国での流行の方がおそらくは日本の流行よりも影響度は大きくなると考えられることなどを考慮に入れて対策を考える必要があると思います。

 日本の選択としては、この冬は、ワクチンに関しては国内で供給できる量のワクチンでしのぐ、近くの医療機関で安心して治療が受けられる体制を整えることで重症化のおそれのある人には早期にタミフルやリレンザを処方して重症化を防ぐ、うがいや手洗いなどの通常のインフルエンザ対策を励行する、学校で患者が確認された場合には休校措置などで対応する・・・といった(つまり、政治家のパフォーマンス用の大向こう受けを狙った対策ではない)地道な対策の組み合わせで対応する方がいいのではないかと思っています。

 
 
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