ワールドシリーズでMVPに輝いても、大リーグ情報に詳しい記者の間では、松井秀喜選手のヤンキース残留は厳しいという見方が強いようですね。《エンスポのツボ》の清水満(気分はいまでも)記者は、ブログで《微妙である、というより難しい環境にある》と書いています。
《ポサダ、A・ロッド、デーモン…。まだ契約が残る高額選手が並ぶ。世界一、MVPの称号があっても、悲しいかな松井秀に居場所がないように思える》
そうかそうか、宴の後の現実はやはり厳しいのね。日本にも似たようなチームがあったと思うけれど、金にあかせて、すぐに使えそうな選手をかき集める。それはそれで、台所事情は大変なのかもしれません。すでに35歳、今季で契約が切れる松井選手に対し、一過性の活躍の追い風に乗せられ、さらに高額の年俸を提示することはできない・・・。なるほど。
すでに輝かしい実績があり、すぐに使えるベテラン選手を集めれば、チームの平均年齢は当然、高くなります。そうなると、DHにはベテラン選手を交代交代で起用し、1週間に1回ぐらいは守備の負担を解除して、体を少し休ませる。長いシーズンを乗り切るためにはそうしたやりくりも必要になるということで、松井選手がDHに居座る選択肢はもはやないといった事情もあるようです。
う~ん、ここは松井選手としても考えどころですね。まあ、契約は交渉ごとですから、100%部外者の私のようなものが勝手に考えても始まりませんが、ヤンキースでのWシリーズ優勝という松井選手の夢は実現しました。しかも、MVPというでっかいご褒美付きです。ここはひとつの区切りでしょう。来季からは、ヤンキースを離れ、新しい物語を追求する旅に出るという選択肢があってもいいのかなあという感じはします。
それにつけても、今年は海の向こうの日本人大リーガーに勇気づけられました。漂流感がただよい、ともすれば心が折れそうになる日本の現状の中で、全国のお父さんの多くが、苦あれば楽あり、自信を持とう!と励まされる感じだったのではないでしょうか。松坂投手はレギュラーシーズンこそ不本意な結果に終わったものの、WBCではMVPを獲得しました。イチロー選手は大リーグの安打記録をますます塗り替え、松井選手はWシリーズで大活躍。しかも、その裏には厳しい試練と失意の時間も流れています。
イチロー選手はWBC決勝の最後のヒットで、大活躍したような印象が強く記憶に残っていますが、実は大会全体を通してみると、不振にあえぎ、体調も崩してしまうような状態でした。松井選手はシーズン中、ほとんどお荷物扱いのような処遇にも耐えてきました。もちろん最後の目覚ましい活躍があってこその話ですが、失意と再生の物語が、いまこの時代の日本のファンには、ひときわジーンときます。
物語を生み出す能力、これもまたプロのアスリートの重要な資質でしょうね。


by 宮田一雄
3336 ホイットニー・ヒュース…