HIVに感染した人の手記を別の人が朗読し、それを集まった人が聞く。そんなシンプルかつささやかなイベント「ポエトリー・リーディング」がラジオの電波に乗るようになったのは、2007年12月のことだ。TOKYO FMの夕方の報道番組「バイブル」のスタッフがエイズ対策に関心を寄せたのがきっかけだったという。その経緯について、TOKYO FMのウエブサイトは次のように書いている。
《TOKYO FMでは2007年の秋から“Think about AIDS”活動をスタートし様々な活動を企画・実施しています。そんな中、夕方の報道番組「バイブル」では、HIV陽性者やその周囲の人たちの思いが詰まった手紙をきっかけに、HIV/AIDSを考えてみるという『L.T.計画』に共感。同番組を軸としたコラボレーション番組およびイベントを実施することとなりました》
『LT計画』というのはLiving Together計画の略。その計画の公式サイト( http://www.living-together.net/ )からの受け売りで簡単に説明すると、特定非営利活動法人ぷれいす東京とRainbow Ringが呼びかけ団体と事務局になって進めている《HIVを持っている人も、持っていない人も、すでに一緒に生きている。そんなリアリティーを共有するためのプロジェクト》である。
じゃあ、ぷれいす東京とRainbow Ringって何よ? というと、このあたりについては私の感情移入も激しく、話せば長くなってしまうので、いずれ機会があったらということにしておきたい。ただし、少しだけ個人的な解釈を付け加えておくと、プロジェクトは主に東京・新宿を中心とするゲイコミュニティの内部から始まり、コミュニティの外へと影響の範囲を広げている。また、そうなるだけの幅の広さと影響力の大きさを持っているプロジェクトだと思う。
TOKYO FMは2007年の12月以降、6月と12月にHIV陽性者の手記のリーディングの公開録音を行い、ラジオで番組として放送している。ウエブサイトではすでに放送した番組が聞けるようにもなっている・・・と、ここまでは長い前置きで、これからが実は本題です。5回目となった公開録音「ポエトリー・リーディング~Think About AIDS」が12月18日夜、東京・半蔵門のTOKYO FMホールで開催された。そのポスターのコピーをちょっと紹介しよう。
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今回も、朗読とライブに様々なゲストをお迎えします。
普段はみることができない、アーティストの違う顔が垣間見れるチャンスです。
ぜひ、皆さんお誘いあわせのうえ、会場に足を運び、アーティストと一緒にイベントの空気を作りあげてください!
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ちょっと風邪気味で寒気がしたけれど、こりゃあ、行かねばなるまい。う~、寒っ。帰りの電車も気にしながら、前半部分だけ、とにかく見て(というか聞いて)きました。いやあ、良かった。前半だけでももう、感動しちゃったね。よく、やった! 感動した!(古いよ、おじさん)。
最初に朗読を行った清水ミチコさん。HIVに感染し、働いて子供もいるお母さんの手記を読む。舞台中央にグランドピアノが置かれ、ピアノの弾き語りのようなスタイル。手記はつまり、ありふれた日常と(多くの人が)思っている日々を送ることの幸せをさらっと書いて胸に迫る。しんみりとしたところで、さっと切り換えてパフォーマンスに移った。中島みゆきから井上陽水まで、矢継ぎ早に繰り出す歌手の物まねの見事さ。そして、「しゃぼんだま」のメロディで、「オシオ・マナブとんだ~」「サカイ・ノリコもとんだ~」とまさしくぶっ飛んでしまった替え歌(これはラジオじゃ流さないだろうな)。手記も良かったし、ネタへの切り返しも見事だった。むむむ、清水ミチコ、あなどりがたい才能ではないか。テレビで手ぇ抜いてる場合じゃないぞ。
作家の高橋源一郎さん。芸もネタもありませんと前置きして空気を鎮め、朗読に入る。HIVに感染したわが子を気遣う母親を気遣うゲイの若者が書いた手記。読後の感想は、何だか身の上話のような展開になりながら、最後に手記の内容にすっと重なっていく。これまた立派な話芸ですね。さようなら、ギャングたち。だてに作家はやっていません。鎌倉にお住まいということで、本覚寺の本えびすでは餅つきにも登場していました。これも何かの薄い縁。エイズ対策の方もよろしく。
このあたりで私はそそくさと帰ってしまったのだが、その後も、普通とは何かをめぐるお話をした脳科学者の茂木健一郎さんなど、素晴らしい!の感嘆符が続くゲストが登場したという。敵に塩を送るというか、頼まれもしないのにちょっと番組宣伝をしておくと、公開録音の模様は12月29日(明日ですね)午後6時~6時55分にTOKYO FMで放送されるという。
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by 宮田一雄
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