10年ほど前にニューヨーク特派員をしていた縁で、いまでも時々、ニューヨーク在住の知人が最新の米国事情といった話題を伝えてくれる。持つべきものはネット、そして、友ですね。その1人、旧知のジャーナリストのM氏から、テレビで八千草薫さんが鎌倉レポートをやっていたよ、と連絡があった。最新の鎌倉事情までニューヨーク経由というのは少々、面目ない気もするが、あちらでも日本語放送があるのでこういうことが起きる。
問題の(って、別に問題があったわけではありませんが)放送は、日本では4月2日に放送されたNHKの朝の番組『生活ほっとモーニング』の『にっぽん体感こだわり旅 八千草薫さんと行く 鎌倉 春らんまん』である。私は見逃してしまったのだが、ほっとモーニングのウエブサイトを見ると、どんな番組だったのか、「あらすじ」のようなものは確認できる。ちょっと紹介してみよう(以下、《》の中は、ほっとモーニングのサイトからの引用です)。
《女優の八千草薫さんと古都・鎌倉を旅しました。まずは、関東でも有数の桜の名所、鶴岡八幡宮へ。500メートルあまりの参道「段葛(だんかずら)」に400本の桜が咲く様子は、まさに桜のトンネル》
段葛は鎌倉のメインストリート若宮大路の中央に一段高く盛り上がった参道。参道両脇に周辺の商店や大中小各企業の名前が入ったちょうちんが並べられ、夜桜のトンネルはひときわ美しかった。あっ、これは放送とは関係ないか。
《鎌倉の海岸で出会ったのは、3月中旬に解禁になったばかりのしらす漁。生しらす丼をいただけると聞き、うかがったお店は、市内でも知る人ぞ知る映画喫茶。50年前の八千草さんの映画のポスターや懐かしい宝塚時代の写真に出会いました。》
中世以来の歴史と文化の町、武家の都・鎌倉は不思議に満ち溢れている。栄枯盛衰、権謀術数、時には骨肉相食み、幸運悲運が地層のように折り重なって、そこに合理を超えた何物かが蓄積されてきたからだろうか。いろいろと興味深い現象が多い。
最近の不思議のひとつは、映画館が一軒もないことだ。かつて松竹大船撮影所を擁し、小津安二郎監督を初めとする巨匠たちが数々の名作を生み出した映画の都・鎌倉なのに、である。昔は5軒くらいあったのだそうだが、いまではゼロ。映画館で映画を見るには横須賀か、藤沢か、横浜まで出なければならない。これはどう考えても観客が減少し、映画館の経営が立ち行かなくなった結果なのではないか。まあ、年間1800万人におよぶ観光客は映画を見に鎌倉に来るわけではないだろうしなあ。
その現代映画館不毛の地とも言える鎌倉に、なんと「知る人ぞ知る映画喫茶」が存立しているというのだから、これまた不思議といえば、不思議である。しかも、生しらす丼をいただけるという。映画館はないのに、映画喫茶で生しらす丼って、どうなってるんだ、鎌倉は。NHKから「知る人ぞ知る」といわれて、「知りません」と答えるのもジャーナリストとしてはちょっとまずい。ここはひとつ、謎の映画喫茶を訪ね、生しらす丼を食べなければ、話が先に進まないだろう。
というわけで、鎌倉駅徒歩4分、若宮大路脇の路地をちょっと入ったところにある「Book Café 鎌倉キネマ堂」におじゃましました。次回はその報告。ご主人からウエブサイトのURL掲載許可を得ました。 http://www.kinemado.com


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3467 今度こそ・・・大銀杏の…