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516 遙かなる世界遺産39 茅とタタキと世界遺産

2007/12/25 11:34

 


 おいしいタタキは茅の火であぶるんですか。浪速の老舗が惜しまれつつ去るとは、茅不足もいよいよ深刻ですね。このブログで以前、鎌倉の覚園寺について書いた《265 鎌倉最大の茅葺き屋根建築》に対し、茅葺き職人のshiozawaさんからコメントをいただいたことがあります。ちょっと引用してみましょう。

  《茅の確保は茅葺きの保存の大きな課題のひとつではありますが、逆に言えば草地生態系の保護や、水質浄化機能の注目されるヨシ原やススキ野原の保全の動機として、茅葺き屋根の存在を捉えることも出来るかと思います》

 茅不足は、茅そのものの不足というより、茅の供給源となる《ヨシ原やススキ野原の保全》、もっといえば、自然と人間とがうまく折り合って生活が営まれてきた接点の喪失があちらこちらで起きているということでもあるのでしょう。昨日、今日に始まったことではなく、何十年も続いている変化ですね。最近は気候変動地球温暖化に対する危惧などが指摘され、北海道洞爺湖サミットでも取り上げられるそうですから、草地生態系の保護や「水質浄化機能の保全に対する動機付けも高まる傾向にあります。保護や保全は単なる放置ではなく、場所によって人の手が入ることで生きるケースもたくさんあるのでしょうね。

 《多面的な価値を見出し、それらを互いに組み合わせることで、貴重な文化財や自然を守って行けたら良いですね》

 「茅葺き屋根、癒されるなあ」とか、「このタタキ、おいしいね」といったような多面的かつ、入っていきやすい価値もたくさんありそうです。鎌倉はその意味でも好位置をキープしているので、失われる前に評価することで手が打てるものも、まだまだ探せばたくさんあるかもしれません。世界遺産登録への準備はそうした観点からの理論付けとしても面白そうです。
 

カテゴリ: 話題!  > 話のタネ    フォルダ: 遥かなる世界遺産

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コメント(2)

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2007/12/27 22:31

Commented by shiozawa さん

こんなところでも、茅不足が生じているのですね。

ススキとかヨシ、稲藁、竹など、かつては生活雑貨から住宅まで、私たちの暮らしを支えていた素材が、悉く石油製品に置き換わってしまったせいで、それらが邪魔者扱いされているような現状は、やはり寂しく感じます。

人と自然の折り合う接点の喪失とは、まさしくその通りだと思います。
本来は人の暮らしもまた、生態系の一部に収まるべきもので、決して人と自然は対立するものではないはずですから。
地球環境に対する考え方も、うわべだけのエコで自己満足に終わったり、逆に人間の存在が地球の癌なのではという想いに囚われたりするのではなく、いかにして折り合いを取り戻すかという考え方をすると、自ずと目指すべき途が見えてくるかと思います。

例えば、草のリズムで暮らす、茅葺きというライフスタイルもその一つではないかと思っています。

 
 

2007/12/27 23:35

Commented by 宮田一雄 さん

shiozawa様

 そういえば、古都保存法発祥の地である御谷(鶴岡八幡宮の裏山)やかつて大寺院があった永福寺跡など鎌倉にも見事なススキの原があります。草のリズムで暮らす。そのリズムを現代の都市生活の中で生かすとしたらどうなるか。ちょっと興味をひかれます。

 
 
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